前回の補足

前回の投稿(id:flying-dinghy:20040428)では、「新会社論(変わる企業統治 下)」を取り上げてコメントしましたが、「上」について、思い当たることがあるので、改めてコメントします。


『一月下旬、花王の次期トップを決める会長・社長選任審査会で後藤は質問責めに遭っていた。「なぜ尾崎さんなのですか」。…四月十二日の取締役会に提案、「尾崎新社長」はようやく内定した。』


ここで私にとって違和感があります。3ヶ月間もトップシークレットで人事を決めたことではありません。トップ交代後も「なぜ尾崎さんなのですか」と問うようなニュアンスが感じられないのは何故でしょうか。


まず、従来の中期計画型経営における社長選別モデルを図1に示します。社長適任性(中期計画の有効性としてもよい)の絶対値をE(t)とすると社長決定時の社長適任性E(t0)が最も高いものが社長に選ばれることになるでしょう。

しかし、時間tが経過すると、その適任性は変わることがなく、修正パッチを当てるように修正項を掛け合わせた形になると思われます。これでも、償却期間の長い設備投資を行う時代/業態ではそれで良かった。


ところが、ネットワーキング、ITによる企業活動のように、償却期間の短くダイナミックな組織化が行われている中ではむしろ、図2のように計画を短期に、ダイナミックに変動させる方が自然ではないでしょうか。


従って、むしろ社長は誰でもいい、しかし、その後のステークスホルダーとのリレーションシップ、フィードバックによって関係が落ち着くところに落ち着く、というようなスタイルが望ましいように思えるのです。